JACK休憩所

慶應義塾大学ジャパンアニメカルチャー研究会のブログ

『ドラえもん』セワシ、過去を変えたら生まれない問題に関する考察

初めまして!サイトウです!

ブログ初投稿の一年生です!

 

寒さも本格的になり、年の瀬も近づいてまいりました。

今年もあと少し!寒さに負けず、走り切りましょう!

 

 

さて今回は『ドラえもん』のタイムマシンとセワシについて書いていきたいと思います。

そもそも『ドラえもん』は何をやってもダメなのび太のせいで子孫まで苦労しているため、そうならないように過去を変えようという話です。

ですので、第一話から主人公であるのび太の元に玄孫のセワシのび太矯正のための子守用ネコ型ロボットであるドラえもんがタイムマシンに乗って未来からやってくるわけです。

そしてその時語られた結婚相手はジャイ子でしたが、それ以降の話ではしずかちゃんとなっているため過去改変は上手くいったのでした。めでたしめでたし。

ともいかず、ここで引っかかってくるのがなぜのび太の結婚相手が変わったのにセワシに影響がないのかということです。これ以降の話でもセワシは定期的にのび太の時代に遊びに来たりしていますが、セワシ自身が何か変わった様子はありません。

もちろん作中でもこの問題に触れられていて

 

のび太「ぼくのうんめいがかわったら、きみは生まれてこないことになるぜ。」

セワシ「しんぱいはいらない。ほかでつりあい取るから。」

セワシ「れき史の流れがかわっても、けっきょくぼくは生まれてくるよ。」

セワシ「たとえば、きみが大阪へ行くとする。いろんなのり物や道すじがある。」

セワシ「だけど、どれを選んでも、方角さえ正しければ大阪へつけるんだ。」

 

ドラえもん』第1巻第1話より引用

 

と、説明されています。

これはドラえもんの中では有名な、大阪理論と言われているもので “ドラえもん 大阪理論” と検索していただければ該当の説明がすぐに出てくると思います。

しかしながらこの解説ではなぜセワシに収束するのかという疑問に答えられていませんし、そもそも収束する説明にもなっていません。しかしながら実際にはセワシに収束しているのです。そのため私は何かしらのセワシに収束する理由があると考えました。

そのためここではなぜセワシが“大阪”になれるのかということについて私の考えを述べさせていただきたいと思います。

 

 

本題

結論から申し上げますと上にはあのように書きましたが、私は厳密にはセワシ自身は収束地点になっていないと考えました。

そもそもこの問題では、なぜ他の子孫たちでなくセワシに収束するのかというのが疑問点となってきます。

そこで私は他の子孫たちになくてセワシにのみある条件として収束地を出発して過去を改変しているということに注目しました。

なぜそこに目をつけたのかというと、過去改変の起点であるセワシに収束しなければ、のび太ドラえもんを送ったという事実そのものに干渉し、パラドックスが発生してそもそもの過去改変すら起こらず、セワシどころかそこまでの道筋にさえ変化がないということになってしまうと考えたからです。

そのためこのパラドックスを解消するために過去改変の起点であるセワシがタイムマシンに乗ってのび太ドラえもんを届けに行く瞬間が特異点として“大阪”になっているのではないかと考えました。

 この問題を考える際、どうしてもセワシの血縁関係や遺伝子的な話に注目し大阪=セワシと考えてしまいがちですが、大阪=過去改変の起点でありセワシさえも舞台装置の一部で、結果としてセワシが生まれると考えると納得できるのではないでしょうか。

 しかしながらこれらはあくまで結果ありきの考えであり、その本質的な理由については考えられていません。それについて私はセワシの「しんぱいはいらない。ほかでつりあい取るから。」という発言とタイムパトロールについて着目しました。

 私がタイムパトロールについて着目したのはなぜタイムパトロールが存在しているのかという点です。もし世界の修正力が歴史改変を許さないのだとしたら時空犯罪も起きず、タイムパトロールの存在意義もないはずです。しかしながらもちろんのこと過去改変は行われており、それに伴い時空犯罪を取り締まるタイムパトロールの活躍もなんども描写されています。これらのことから世界の修正力はタイムパラドックスを防ぐために働いており、歴史には干渉しないということが考えられます。これがセワシのいう“ほかでつりあいが取れる”ということなのではないでしょうか。

 さてこの修正力の正体について、私は2通りのものがあると仮説を立てていて、一つ目は4次元空間的ロジックに基づいて当然のごとく修正されているというもの。もう一つはタイムパラドックスを防げない世界線はことごとく世界ごと崩壊し、観測すらできなくなり存在する世界が生存者バイアスによってまるで修正力が働いて維持された連続した時空間にいるように観測させているというものです。ですがこれらを裏付ける描写は存在しないためあくまで仮説の域を出ないのですが...。

 

 

 

以上、私のタイムマシンとセワシに関する考察でした。

ここまでお付き合いくださりありがとうございました。

 

 

 

あとがき

この文章、実は高校時代にアニ研で出した部誌で私が書いたドラえもんのタイムマシン考察の一部を元に書いていまして、これを書くうえで見返してみると当時『Steins;Gate』にハマっていたこともありなかなか治らない中二病を感じさせられてなかなかにきついものがありました(笑)。

何はともあれ今年ももうあと少し、風邪にも気をつけながらがんばりましょう!

......え?クリスマス...?知らない子ですね